回顧録

考えごと感じたことひとりごと

街中での話

2年ほど前、人気の少ない昼間の電車に乗って座っていた。スーツを着た男性と通り過ぎざまに目があう。しばらくして別の車両からこちらへ戻ってきて「この後お時間ありますか?よかったらお茶でもしませんか」と聞かれたことがあった。時間はたしかにあったが、見ず知らずの人となにを話せば良いのかわからない上に咄嗟のことでうろたえてしまい断った。男性は「そっか…そうですよね…。ありがとうございます」と穏やかに去っていった。

 

たまに、あの時、誘いに乗っていたらどうなっていたのだろうと思うことがいくつかある。

 

以前バイセクシュアルの友人と話していて知ったのだが、街中を歩く時、ナンパの方法としてすれ違いざまにウインクをするのだそうだ。それは「今夜の相手にどうですか?」という意味らしい。良いと思えばウインクで返してそのまま…なんてこともあるそう。

 

そんなこともあるのかと驚いた記憶を忘れそうになっていた頃、繁華街を夕方1人で歩いていると妙にギラギラした視線の男性とすれ違った。何気なく振り返ると相手も振り返っており、ウインクをされた。ドキドキというよりも恐怖から来る動悸がした。

 

なるほど、こういうことかと納得。他人事、空想話のように聞いていたが案外身近なところにあるものだった。教えてくれた彼は男性の相手を探す時にとる方法として教えてくれていた。つまりゲイの間では当たり前の方法として認識していたため、女の私にも同じことが起こるとは思っていなかった。あの時ついていったらどうなっていたのか…人相からしアウトローな雰囲気だったので行かなくて良かったが。

 

街中でよくあるナンパもこれぐらい人間味を出せば興味を持ってもらえて成功率が上がるのではないかと思うが…彼らは彼らで独自のマニュアルがあるのだろう。万人に受けるものはそれほど特別扱いはされない。当たり障りがない。ジャンプの人気投票と同じだ。アレは10人中2人がおもしろいと思ってもらえたら人気漫画になるらしい。最近人間も同じようなものかと思う。アクが強くてもそのアクが強ければ強いほど特定の誰かと深いつながりがもてるような気がする。代わりがいないのだ…話が飛躍した。

 

つまりだ、まじめすぎた昔だが、今となっては、次、もしこういったことがあれば少しぐらい話をするのはおもしろいかもしれない、と思う。また、そうなったら自分の中に落とし込み熟成させて何か書けたらいいな。